<飼育 第1話>
エリスは、今の自分が置かれている事態が理解できなかった。
いったいどうして、こんな事になってしまったのだろうか?
つい先日まで、村で家族と平和に過ごしていたというのに…。
エリスは先月19歳になったばかりであり、来月にはディーンという婚約者と結婚する予定であった。
エリスの美貌は周辺の町でも噂に上るほどで、何人もの男に言い寄られたりもしたが、
結局は自分の村の幼馴染の男と結婚することにした。
ディーンは特に裕福な男ではなかったが、誠実で真面目な性格の男で、何よりエリスに優しかった。
だが、そのエリスの幸せを打ち壊す事件が起きた。
エリスの村が、亜人種であるオークを中心とした軍隊の襲撃を受けたのだ。
村は農耕を中心とした比較的小さな村で、軍事的には何の価値もなかった。
しかし、オークを中心とした軍隊に襲われたのには理由があった。
それは、食料と労働力。それと若い雌を得ることであった。
老人と子供は殺され、男は奴隷として強制労働に狩り立てられた。
そして、若い女はオークの慰み物として奉仕させられた。
少しでも抵抗する者は、その場で惨殺された。
家族は殺され、婚約者のディーンは強制労度のための奴隷として、連れて行かれた。
そして、自分も家畜のように首輪をされ、納屋のような建物に連れてこられたのだ。
その粗末な建物の内部には、異様な光景が広がっていた。
若い女達が、全裸で養豚場の豚のように並ばされている。
20人はいるだろうか…。
エリスは身震いした。
これは、いったいどういう場所なのか…?
皆同じ方向に尻を突き出し、床に敷かれた藁の上で四つん這いにさせられていた。
手足の自由は鎖で奪われ、更に床に太い鎖で繋がれている。
そして、女達のすすり泣く声が絶えず聞こえた。
体を震わせて、泣きじゃくっている者もいた。
と、その時、ガランガランと大きな鐘の鳴る音がした。
何とも耳障りで、納屋の薄い壁がビリビリと震える程の大きな音だった。
それと同時に、女達から悲鳴に似た声が上がった。
「いや、もう、いやあああっ!」
「やめて、もう、もうやめて、やだああああっ!!」
「許して、お願い、お願いですから、許して…許してえぇ…」
「ああ、また、またああぁ…」
何、何が始まろうとしてるの?
エリスには、あの鐘の音が何を意味しているのか、さっぱり分からない。
ただ、全裸で四つん這いにさせられている女達にとっては、何か辛い事のようではあった。
女達の中には、体を揺すって必死に逃げ出そうとする者もいた。
しかし、両手両足を太い鎖で繋がれ、足は肩幅より狭く閉じれないように固定されている。
その行為は、全く無駄なものだった。
その時、耳障りな鐘の音がようやく止もうとしていた。
重くざらついたその最後の音色が、薄暗い納屋の中に長く響いている。
そして気味の悪い鐘の音が完全に止むと、納屋の向こう側の扉が大きな音を立てて開いた。
と同時に、屈強なオーク達がどかどかと中に入ってくる。
女達の泣き叫ぶ声が、さらに大きくなった。
「いや、いやああ、いやあああっ!!」
「ああっ、あああっ!も、もう…許してぇっ!!」
頭を上げてオークに懇願しようとするが、首輪は鎖で床に固定されており、
高く上げる事が出来ない。しかも、その鎖の長さは30センチほどしかなかった。
自然と頭を低くして、尻を突出す格好にするためだ。
泣き叫ぶ者もいれば、全てを諦めているのだろうか、床に敷かれた藁に顔をうずめ、
動かない者もいる。まさに、異様な光景だった。
オーク達は、四つん這いにさせられている女達の尻の方に、列を作り始めている。
既に一人あたり3匹ほどのオークが並んでいた。そして、それはどんどん増えている。
オーク達は酷く興奮しているようで、息が荒く雄たけびを上げている者もいた。
そして、その者達の性器は、例外無く大きく膨張している。
カラーン、今度は納屋の中で先ほどとは違う鐘の音がした。
ただし、今回は一度きりだった。
すると、女達が頭を低くし、足を肩幅からさらに大きく開き、尻を高く突き出し始めた。
もう、大声で泣き叫ぶ者はほとんどいない。ただ、むせび泣く声が納屋に響いた。
背中は大きく反り、後ろに並ぶオーク達の前に女達の尻が高く突き出される。
どうやら、この鐘は女達にこの格好をさせるためのものらしい。
もう、エリスにもこの後何が行われるのか、理解するのに十分だった。
自分もこの後、ここに養豚場の豚のように並ばされて…後は…。
「う、うう…」
エリスは、嫌悪感で体を震わせた。
そして体中を、絶望が駆け抜ける。
その鐘が鳴り止むと、鞭を持った一人の男が尻を突き出した女達の後ろを歩き始めた。
この男は、豚のように飼育されている女達の飼育係とでも言えばよいだろうか。
そして、むせび泣きながら床に這いつくばっている少女を見つけると、
飼育係はためらいもせず少女の体に鞭を振るった。
「きゃああっ!!」少女は甲高い悲鳴をあげると、急いで四つん這いになり、
他の女達同様に足を大きく開き、尻を高く突き出した。
さらに大声で泣き叫んでいる女に鞭を振るい、全員の準備が出来たのを確認すると、
手に持った鐘を大きく振り始めた。
カラーン、カラーン、カラーン、カラーン…
乾いた鐘の音が、納屋中に響く。
それは、この藁の上で養豚場の豚のように並ばされ、惨めに尻を突き出している女達にとって、
地獄の始まりを知らせる鐘の音だった。
その鐘が鳴り始めると同時に、女の後ろに並んだオークの前の柵が開いた。
「うう、ううぅっ…」
「あ、ああっ…」
女達から、諦めと絶望のうめき声が漏れる。
そして、突き出された尻めがけて突進する、オーク達の雄叫びが納屋を埋めた。