<智美 第9話>
「ああ…もう駄目…。お願い、させてくださいっ!
オナニー、オナニーさせてくださいっ。お願いしますっ!」
左手に握り締めた携帯に向かって、何度も卑猥なお願いを繰り返す智美。
携帯を握る手の平はじっとりと汗で湿り、通話口も熱い吐息で濡れていた。
今夜初めて話す相手である。当然会った事も無ければ、相手の素性など全くわからない。
物理的にも、法的にも、なんら拘束力など働いていなかった。
にも関わらず、男の許可なくしてはオナニーすることが出来ない智美だった。
股間に伸びる手が、あそこに触れる寸前で不思議な力によって阻まれていた。
命令によって行動を制限されるという束縛感…。
まるで、荒縄で心を縛られているかのような感覚を覚えた。
胸の奥がぎゅっと締め付けられる感覚…。
苦しくてつらいのに、それが自分にとって何物にも換えがたい事のように感じる…。
「ふん、もうそろそろ我慢も限界みたいだな…。
よーし、じゃあ10数えろ。今からゆっくり10まで数えたら、オナニーしていいぞ。
ただし、10数え終わったと同時に一気に奥まで指を突っ込むんだ。」
既にあそこはぐっしょりと濡れていた。
男の言うとおり、もう我慢の限界である。
今から10数えればオナニーができる…。
この人の見ている目の前で…。
智美に選択の余地は無かった。
「は、はい、数えますっ。1、2、3…」
「突っ込む指は、人差し指と中指の2本だぞ。一気に根元までねじ込めよ!」
「は、はい…4、5、6…」
智美の中で、徐々に期待感が高まってくる。
あとほんの少しで、好きなだけ快感に浸れるのだ。
懇願した末の、我慢を重ねた上でのオナニー…。
こんなに我慢したのは初めて…。
あそこがすごく敏感になってる…。
「2本の指を奥まで突っ込んだら、そのままめちゃくちゃにかき回すんだぞ!
お前がびしょ濡れのマンコに指突っ込んでオナってる所、じっくりと鑑賞してやるからな!」
「は、はいっ…わかりました…!7、8、9…」
太ももの上で、右手の指が震える。
智美はゆっくりと性器の上に指を滑らせ、その待望の瞬間に備えた。
だが、ここで思いもよらない命令が男からされた。
「よーし!そこで数えるのを止めろっ!」
「ああ、そ、そんなっ!」
智美は半泣きになりながらも数えるのを止めた。
あと1つ数えるだけでオナニーをさせてもらえるはずだったのに、お預けを食わされたのだ。
智美の中で強烈な喪失感が生まれた。高まった期待感が、爆発寸前で強制停止されたのだ。
例えるなら、吹き零れそうになっている鍋のフタを上から強い力で押さえつけられたような
状態である。しかも、まだ鍋の下で火は燃えていた。
我慢という上蓋が、カタカタと音を立てながら吹き零れようとしている感情を抑えていた。
「数えるのが早すぎるんだよ。もっとゆっくりと数えるんだ!」
男の冷たくて有無を言わさない声…。
「ああ、酷い…。もう、もう我慢できないです…。オナニー…オナニーしたい!
お願いっ!あなたの目の前で、恥ずかしいオナニーさせてくださいっ!お願いしますっ!!」
だが、智美の願いは聞き入れられなかった。
しかも、その後3回も途中で数えるのを中断させられたのだ。
その度に智美は落胆し、燃えるような強烈な欲求が蓄積され膨張していった。
「い、いちいぃ……、にいいぃ……、ああ…さ、さん……」
途中で止められないように、慎重に数を数えていく智美。
1つ数える度に、中止の命令が出ない事を確認して進んでいく。
智美の我慢も、本当の限界を迎えようとしていた。
「いく時はちゃんとイクって言うんだぞ!お前がオナニーでイク時の恥ずかしい声、
しっかりと聞いてやるからなっ!」
「うう…は、はい…言います…。しいぃ…、ご…ごお……、ろくうぅ………」
「ほら、ゆっくり数えろよ…。ここで数えるの早めたら、またやり直しだぞ!
お前が自分から指入れるところ、しっかりと見てやるからな!
おい、”指が入るところ見てください”って言ってみろ!」
「ああ、は、はいっ…!指が入る所、見てください!」
「ああ…し、しちいぃ……」
はああ…駄目…。もう我慢できない…。
もし、またここで止められたら…。
ここでまたやり直しをさせられたら…。
駄目…ゆっくり、ゆっくり数えないと…。
うううぅ…。
「は、はちいぃぃっ……」
あと…あと2つで…。
お願い!止めないで…!
これで止められたら、私…、おかしくなっちゃう…!
「はあああ…、きゅ、きゅううぅ……」
「あっ…!、ああ…!!」
中止の命令は出ていない!
オナニーの許可が下りたのだ。
智美は最後の数を、歓喜の思いで絶叫した。
「じゅっ!じゅうぅううっーー!!」
智美は唇を震わせながら、大きな声で10まで数えきった。
それと同時に、大きく開かれた両足の間に右手を這わせる。
濡れそぼった割れ目からは、いやらしい汁が既に溢れていた。
そして、そのまま人差し指と中指をズブズブと差し込んだ。
熱い蜜壷が、2本の指を飲み込んでゆく。
ぐっちゅうっーー!
「ああっ!ああああっーーーー!!」
人差し指と中指の2本の指が、熱い蜜が溢れる割れ目に吸い込まれていった。
糸を引く透明な粘液により、その指は何の抵抗も無く一気に根元まで挿入された。
指の体積によって押し出された液体が蜜穴から溢れ、くちゅうっと音を立てながら智美の
指を根元までずっぽりと飲み込んだ。
すっ…すごい…っ!
我慢した後のオナニーが、こんなに気持ちいいなんてっ…!
いつものオナニーとは桁違いの快感に、全身を震わせる智美。
それに…見られてる…
私が…オナニーしてるところを…
指が入って…あそこをかき回してるところも…
唇を震わせながら、快感を貪ってるいやらしい顔も…
恥ずかしい…ああっ…すっごく恥ずかしいっ!
「あ~あ、本当にオナニー始めやがった…。人前でよくそんな事ができるもんだな!
オナニー我慢させられて、やりたくてやりたくて、仕方が無かったみたいだな。
ふん、必死で指動かしてやがる…恥ずかしい女だな…。」
割れ目を出入りする指が、愛液でぬらぬらといやらしく光っている。
奥まで挿入された指先が、快感を求めて激しく肉壁を刺激する。
まるで独立した生き物のように、うねうねと動く指先…。
くちゅくちゅと卑猥な音を立てながら…。
「うう…は、恥ずかしい…。」
「ああ?!恥ずかしいだぁ?自分からオナニーさせてくださいってお願いしといて、
何言ってやがる!見てるこっちのほうが恥ずかしいぜ!
くちゅくちゅいやらしい音させながら、オマンコかき回しやがって!」
「ああ、いやあっ…」
「ほら、オナニー見られるの気持ちいいって言ってみろ!」
男の低い声が、智美の膨張した被虐心に火をつける。
奥まで挿入された2本の指に、ぐっと力が入った。
「ああ…、気持ちいい…!オナニー…オナニー見られるの気持ちいいですぅっ!」
ああ…駄目…我慢できないっ!
いく…いっちゃうぅ…!
駄目…止まらないっ!
「あっ、そんなっ!あっ、ああっ!駄目っ!い、いっくうぅっーー!!」
智美は背中を大きく反らせると、腰をびくんびくんと激しく痙攣させながら、
絶頂に達した。それと同時に、蜜壷から沸騰した蜜が飛沫を上げて飛び出した。
「はは、なんだ、この女!オナニー始めたとたんイキやがったっ!
お前の恥ずかしいイキ声、しっかりと聞かせてもらったぞ!」
自分のイク時の声を聞かれたと思うと、体の奥の方からゾクゾクとした感覚が
這い上がってきた。まるで、体中の神経の上を毛虫が這うような感覚…。
イク時の恥ずかしい声を聞かれた…今日、初めて話す男の人に…。
強烈な被虐感を伴うその感覚に、智美は酔いしれた。
今の智美は、支配され、服従する喜びで満たされていた。
顔も知らない男に服従し、支配されるという被虐の快感…。
通話先の相手に、自分の痴態を凝視されている事を想像しながら…。
智美の指は、より一層の快感を貪ろうとしてその後も激しく動き続けた。
< 完 >